適格分割か非適格分割か(1)

2015.08.04 - written by 梅田

こんにちは。MAアウトソーシングのゴリコンです。
前回、MAで事業だけを引き継ぎたい時のスキームとして、事業譲渡と会社分割の違いをまとめました。
今回は諸般の事情で会社分割をスキームとして選択した場合、各当事者へ与える税務会計上の効果を、適格分割もしくは非適格分割のパターンに分けて説明したいと思います。
(*については表の下部をご参照下さい。)
会社分割当事者 適格分割 非適格分割
分割法人 資産及び負債が簿価により引き継がれたものとされ、譲渡損益の計上なし。 資産及び負債が時価譲渡されたものとされ、譲渡損益の計上あり。
分割承継法人 資産及び負債を簿価により受け入れる。 資産及び負債を時価により受け入れる。
分割法人の株主(分割型分割の場合*1) 課税関係なし みなし配当の計上あり。*2
分割法人株式の譲渡損益の計上あり(金銭等の交付を受ける場合のみ)。
以上のように会社分割により事業承継等を行う場合、当該分割が適格分割か非適格分割かにより当事者へ与える影響が変わってくるため、注意が必要です。
次回は、適格分割の要件についてまとめていきたいと思います。



    *1
分割型分割(分割対価資産が分割法人の株主に交付される分割)
分社型分割(分割対価資産が分割法人の株主に交付されない分割)
  *2
みなし配当とは、法人税法23条に規定する剰余金の配当または分配等には該当しないものの、実質的に剰余金の配当と変わらないため、これを法人税法上配当とみなして、受取配当等の益金不算入の規定の適用を受けることができるとされた一定の金額をいいます。

具体的には、内国法人が出資先である法人から、次に掲げる事由により、金銭その他の資産の交付を受けた場合において、その金銭その他の資産の価額の合計額が、その出資先法人の資本金等の額のうち、その交付の対象となった株式または出資に対応する部分の金額を超えるときの、その超える部分の金額が、みなし配当とされます(法人税法24条1項)。

  1. ①合併(適格合併を除く)
  2. ②分割型分割(適格分割型分割を除く)
  3. ③資本の払戻し(剰余金の配当(資本剰余金の額の減少を伴うものに限る)のうち、分割型分割によるもの以外のもの)、または解散による残余財産の分配
  4. ④自己株式または出資の取得(金融商品取引所における購入等一定の取得を除く)
  5. ⑤出資の消却(取得した出資について行うものを除く)、出資の払戻し、社員その他法人の出資者の退社または脱退による持分の払戻しその他株式または出資をその発行した法人が取得することなく消滅させること
  6. ⑥組織変更(組織変更に際して当該組織変更をした法人の株式または出資以外の資産を交付したものに限る)

この他、合併法人が抱合株式(当該合併法人が合併直前に有していた被合併法人の株式または被合併法人が合併直前に有していた他の被合併法人の株式)に対し、当該合併による株式の割当てまたは当該株式以外の資産の交付をしなかった場合においても、被合併法人の他の株主と同一の基準により当該株式その他の資産の交付を受けたものとみなして、上述のみなし配当の規定が適用されます(法人税法24条2項 )。
 
梅田
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